ひとりぼっちのあいつ

昨日のニンニンちくびは、ふーみんこと岡村文乃が出演してくれました。あの顔を見てるといろんな形容詞と比喩表現が頭をよぎって、ちょっとした脳みそトレーニングになります。
話は変わって、汚い話をひとつ。最近居酒屋に行った時のこと。
飯食ったらすぐ出る、ロケットえんぴつ型の腸を持つ僕は、ひとつ大きいものを出してやろうと意気込み、トイレに旅立ちました。
殿方用トイレに入ると、一人の青年がグロッキー状態になって手洗いの前に体操座りをしてる。それを横目に大便器の個室に入り、鍵をかけた。中はティッシュが散乱しててなんか汚い。さっきの奴吐きやがったな。汚ねえなあと思いながらも腰を下ろして快音を響かせる。腸内でうろついていた先頭集団がひとしきりゴールして、第2集団を待っていたその時、事件は起きた。
きぃーっと、殿方用トイレの入り口の戸が開く音がする。バタン。
「ちょっとー、のぶくん大丈夫?」
女子だ。完全に女子だ。しかも、きぃーって音がしてバタンて音が鳴ってから声が聞こえたから、彼女はインしてる。完全に殿方用トイレにインしてる。
「寝ちゃダメだよー。みんな待ってるよ。大丈夫?」
「う…うん…」
「しょう君とかデザート頼んでるよ。戻ろ?」
僕がいるこの場所は男のトイレだ。だからスキだらけの状態でウンコをしている。小便じゃなく、ウンコだ。
なぜ来た?
逆の立場なら、男が女子トイレに入るなら、どんな理由があっても物凄い躊躇する。下手したら大きな問題になるからだ。
だが、君は来た。デザートを頼んだ甘党のしょう君が来ればいいのに、君が来た。
君が来たことによって、非常に外に出にくい。どう考えても地の利は僕にあるのに、なぜか出にくい。
幸い僕にはまだ便意がある。この遅れてきたルーキーたちが巣立つ前に、とっとと出て行ってくれ。そうすれば何も問題は無い。さあ、お酒に飲まれちまったのぶくんを連れて出て行ってくれ。
焦りながらそんな事を考えていたら、
「ちょ、のぶくんダメだよ…あっ…」
チュッ…チュチュ……
なにやってんのオメーら。
ここトイレだぜ。そこ個室じゃなくて入り口だぜ。俺クソしてんだぜ。
なに愛し合ってんの?俺クソしてんだぜ。
もうダメだ。完全にアウェイだ。こうやって先住民たちは侵略者に追われる立場になるんだ。
のぶくんと彼女の愛は止まらない。だが僕のクソも止まらない。突如、僕の尻から景気のいい音が鳴る。
「ぷぴーーーー」
彼らのいい雰囲気をよそに、先住民の最後っ屁が侵略者を襲う。
おそらく台無しだろう。この侵略戦争の終わりを告げる、長いホイッスル。
彼らが追っ払えると思えば、間延びしたみすぼらしい屁を出した恥ずかしさも幾分和らぐ。
チュッ…チュチュ……チュチュチュ……うふん…チュチュ……
効果なし!!
彼らの愛は止まらない。
屁、届かず。
半畳ほどの個室の中で便も屁も出し切り、ただただ恥ずかしい気持ちでいっぱいの僕。僕はこの世でひとりぼっちだ。誰も僕のことなんか気にしちゃいない。
結局、甘党のしょう君が様子を見に来て二人は気まずそうに出て行った。彼らがもともと恋人同士なのかはわからない。だが僕は彼らが愛し合い始めた一部始終を聞いていた。汚いトイレの個室の中で。
とりあえず僕は自分の排泄物と屈辱と愛しさと切なさと心強さを水に流してから、愛ある世界へと旅立った。
Nowhere man / The Beatles

post: 2008年3月1日 ( BLOG )

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