祐天寺の車窓から
ちょっと所用があって祐天寺を歩いていると素敵なお店が。
カレーと鉄道。素晴らしいコラボだ。
ワクワクしながら店に入ると店内は鉄道、電車にまつわるアイテムがずらりとディスプレイされてる。壁には全国各地の駅長さんがしたためた座右の銘(なぜか「忍」という字が大人気)。イスは電車のBOX席風。灰皿も昔の電車に使われてた壁に引っ付いてる銀色のやつ。すげー。
とりあえず「ナイアガラカレー」を注文して周りをキョロキョロ見渡す事しばし、何かが機械音とともにこちらに向かってくる気配を感じる。音のする方に目をやるとそこには…汽車!!!
テーブル横に設置された線路を汽車が走ってくる!!シュッシュポッポいいながらこっちに向かってくる!!汽車は自分よりも大きな荷台をしたがえ、その荷台にはカレーが載っかてる。軽快に、誇らしげに走る汽車はキキィィィーと大きな金属の軋む悲鳴を響かせ(言い過ぎた)、僕のテーブルの横で止まった。店の奥からおばちゃんの声が聴こえる。
「どうぞ~」
すげえビックリした。
こういうの昔からあるし見た事もあるけど、ついさっきまでマクドでも行こうと考えてた昼下がり、ふと興味本位で1人で入った店でこんな演出。驚いた。
ナイアガラカレーは古き良きジャパニーズライスカレー(ちなみに甘口は鈍行で激辛は特急て言うんだぜ)。素朴な味を堪能し終えて、再び店内をじっくり見てるとおばちゃんが話しかけてくる。
「この席ねえ陣内と藤原紀香が座ったのよ。ドラマで。このドラマで二人は知り合ったのよ」
その席には『えんむすびの席』と貼り紙がしてあった。なるほど。
「他にもタモさんとかねえ…」
確かにこんな感じの店でタモリ倶楽部の収録してんの見た気がする。
「お兄ちゃん、芸能人?」
は?
「いや芸能人ちゅうかラジオで喋ったり、なんやかししてます」
「ああそうなのー。」
急に店のドアが開いて、全身1ミリのブレも無い車掌ルックの紳士が入ってきた。入ってくるなり開口一番、
「発車しまーーす!」
どうやら店のご主人。その服装とかけ声にコンセプトを守るプロフェッショナルを感じたが、よく考えたら「発車します」は「いってきます」だろう。
おばちゃんがご主人に話しかける。
「お兄ちゃん、芸能人なんだって」
ご主人、
「いやぁ、だと思ったよー!!」
早い早い早い。まだ出会って10秒も経ってないのに。いつの間に”芸能人だ!”と”思った”んだ。さすが特急。芸能人認定試験をこんなにあっさり合格出来るとは。もっっっの凄い違和感あるんですけど。
まあ何しろ愉快なご主人とおばちゃん。
店内の写真を撮らしてもらおうと思い頼んだら、駅長の帽子を被らせてくれておばちゃんが撮ってくれました。
鉄ちゃんには相当、というかしょっちゅうTV等にも登場している有名なお店やったわけですが、サービス精神旺盛な、見た目通りのええお店でした。祐天寺にお越しの際はぜひどうぞ。
それではナイアガラ・サウンドをお聴き下さい。
君は天然色 / 大瀧詠一