初体験の話

少し前の話になるけど、ついに初体験を済ませたんで報告。
最終電車に乗ってアホみたいな顔して携帯をいじくってたら、
「てめー何やってんだよ!」と声が聴こえた。
顔を上げると真正面に、かなりゴツめの外国人を叱り飛ばしてる一人の青年。
青年は外国人からiPodらしきものを取り上げ、近くの座席で眠りこけてる女性を起こし
「これ。あなたのですよね?あいつが盗んでましたよ」
そう告げるとiPodを渡した。
青年は再び外国人の前に立ち「人の物に手出してんじゃねーぞ!」と一喝。
外国人が連れてた彼女らしき日本人は申し訳なそうに「すいません、すいません。酔っ払ってるんです」
青年の彼女が遅れてやって来て、事態を収束しようと「ごめんなさい、我慢出来なかったみたいなんです」
当の外国人は不服そうに青年を睨みつけてる。そして口を開き、
「イイヨ。じゃあFightスル?」
外国人に火が付きました。
「アナタ、ジブンのオモッタトオリ、コウドウシタ。ソレなら、Fightスル?」
あら大変!お兄ちゃん、逃げてー!!
「何言ってんだよ!お前が悪いんだろ!」
「ア~ン?」
一触即発!!!
が、なんとか彼女らが必死に止めて、青年らは少し離れた席に戻る。
…いや兄ちゃんすげーよ。立派だ。
そんな熱い感じでもなく、体格も普通の、レミオロメンのカラオケが上手そうな兄ちゃん。
思ってもなかなか出来ないよ。相手かなりごっついし。
俺なんて正面で何にも気付かずにフジロックのラインナップ調べてたよ。
あんた男だ。彼女さんも、いい男見つけたな。良かった良かった。
と、一人頷いてたら、
外国人が立ち上がり、青年の所へ歩み寄る。
「アナタ、ジブンでコウナルコトをChoiceシタデショ」
そう告げると、いきなり座ったままの青年を押し飛ばした。
彼女らがギャアギャア言いながら止めるも、外国人は完全にヒートアップ。
お兄ちゃんは小さな身体で必死に抵抗。
深夜の車内で取っ組み合いが始まった!
えらいこっちゃあああ!!!
大変だ。正義感溢れる青年の身に危険がっ!
車内を見渡すと、誰もが固唾を飲んで見守ってるだけ。
ちっ。オマエラなんで見てるだけなの。勇者が大変なのに。助けようって気概は無いのか。
その時初めて気付いた。
よく見たら、一番修羅場に近かったのは俺。
ニアサイド、ツバかぶりシート、ゲェェェッットォォォ!!!
もう一度周りを見渡したら、車内の皆様の表情が「お前に任せたぞ…!」の顔に見えてきた。
…そうか。俺か。
勇者を助けるのは俺しかいないんだな。
よし。わかった。
相手とのウエイト差が倍以上あるのは間違いねえけど、俺いくよ。
俺の生き様しっかと見届けろや!!!!
俺は外国人の隙をうかがい、スッとポケットから携帯電話を取り出し素早くコール。
「もしもし、警察ですか。電車の中で男性が暴れてます。大変です。」
「○○線の△△方面行き最終電車、××駅にもうすぐ着きます。すぐ来て下さい。大変です。」
「男性はかなりデカイです。ホント大変です。」
俺は極めて冷静に、流暢に、通報した。小声で。
通報してんのがバレたら殴られてすぐ死ぬと思ったんで、小声で。
人生初の通報。
間もなく電車は駅に到着、外国人は警察に連れて行かれた。一件落着。
勇気ある注意を行った青年に拍手。素晴らしい。
それに対して俺は…小動物のような及び腰ツーホー。
いつもより家路が肌寒かったよ…。
The Weight / The Band

post: 2009年4月26日 ( BLOG )

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