夏の魔物2009

青森駅から会場行きのシャトルバスが発車するとキング・オブ・ロックの声が出迎えてくれた。
RCサクセションの「よぉーこそ」が大音量で流れ始める。
今年で4回目となる青森ロックフェスティバル・夏の魔物の今回のテーマは「忌野清志郎に捧ぐ」。
このフェスに、この道中に、これ以上無いほどふさわしい幕開け。
いきなりの演出にテンションが上がるなか、1時間程で会場であるつがる地球村に到着。
雲は多いものの、時々太陽がのぞくいい感じの天気。
ほどなくして、MCのアントーニオ本多さん、ゲストMCの田代まさしさん、長島☆自演乙☆雄一郎さんが登場。
マーシーが黒すぎる自虐ネタを連発するなか、開催宣言が行われついに魔物が始まる。
トップバッターとして登場したのはギターウルフ出演キャンセルを受けて、1週間前に出演が決定したMr.Freddie&The Mercury devil。朝イチからテンションが高いライブ!ちなみにクィーンぽくは無いです。頭に浮かんだ言葉は「退かぬ。媚びぬ。省みぬ。」
続いて主催者だいち69率いるTHE WAYBARK。ライブは見たのは初めてだけど、ロック愛やらロック魂みたいもなものが100%で、不純物無しのバンドだった。だいち69はステージの上でも裏でも素晴らしいエンターテイナーだ。
黒猫チェルシーはメンバー全員まだ十代!のバンド。若いながら一流のバンドたちと張り合える才能はさしずめ、ロック界の石川遼くんと言ったところか。???どーですか、今のロックっぽさを微塵も感じない、お茶の間向けなさしずめは。彼らの友人であり同い年のイギリスのバンドであるThe Who(本人談)の『My Generation』日本語カバーが格好良かった。
つしまみれはこの日も振り切れてた。もう何度かライブ見てるけど風格のようなものさえ感じる。ライブ後、「もっと(お客さんを)盛り上げたかった」って言ってたけど、充分魔物だった。
10年前からCDよく聴いてて、大阪に住んでたのに、THE NEATBEATSのライブを見た事がなかった俺はなんてバカなんだろう。カッコ良すぎる。広辞苑のライブバンドの項に彼らの挿絵を載せるべきだと思う。
夜行バスの疲れと気温で朦朧とする意識を蹴り飛ばして来たのはKING BROTHERS。セットの一番上、照明の吊ってあるとこらへんからギター抱えてダイブしてました。5mはあったはず。もう無茶苦茶。
体力の限界がやってくる。まさか、ゆらゆら帝国見ながら居眠りとは。無念。
セイジさんの怪我でギターウルフは出演キャンセル。が、タイムテーブルにはセイジさんの挨拶とある。挨拶なのにステージ転換があり、挨拶なのに松葉杖をギターに持ち替え、挨拶だから『アイ・ラヴ・ユー,OK』を演った。本当に熱い。
断続的に降っていた雨が強くなりはじめ、eastern youth。吉野さんが「雨、やまねえなぁ」と言いながら『夏の日の午後』のイントロを弾き始めると、地鳴りのような歓声があがる。男が惚れるバンド。全てが渋すぎる。
この日一番音がクレイジーだったのはやっぱりズボンズ。先が見えない展開の緊張感とスリル。立ち尽くして見てたらあっという間に終わっちゃった。
曽我部恵一BANDはこの日も100%。いっつも全力。フェスとかこういうイベントで、彼らのライブを見終わるとイベントが終了する雰囲気を感じてしまう。完全に自分たちの空気にしてステージを降りるからだろうなあ。でも、魔物は終わらない。
20年のキャリアはダテじゃなかったフラワーカンパニーズ。ライブも初めて見たし、曲もそんなに知らなかったんですが、終始圧倒された。今までごめんなさい。『この胸の中だけ』という曲が素晴らしかった。
雨はいっそう強くなって、ズボンはびっちょびっちょ。レインコートの下に長袖を着てなきゃ寒いくらい。体力的にかなりきつい状況。でもみんな帰らない。そしてサンボマスター登場。一瞬で終わった気がした。それぐらい中身の濃いライブ。ライブモンスターここにあり!ハケ際に山口さんが真心ブラザーズの名曲『GREAT ADVENTURE FAMILY』をアカペラで歌った。最近のライブでたまにやってるらしいんだけど、異常な程その場の空気にマッチしてて鳥肌が立つ。
正直ここまで見て、曽我部恵一BANDあたりからどこで終わっても満足のいくフェスだった。
でもここで終わらない。今回の夏の魔物の最大の見所はこの後のヘッドライナーが上記のバンドの誰でもなく、毛皮のマリーズだというところ。
宮村優子さんと志摩さんによるエヴァンゲリオンのパロディ・ナレーションが流れ、ステージに毛皮のマリーズと、先ほどTHE 卍のステージを終えたばかりで、マリーズの大ファンを公言するROLLYさんが現れる。1曲目はMott The Hoopleの70年代グラムロックのアンセム『All The Young Dudes (すべての若き野郎ども)』へのマリーズのオマージュ『YOUNG LOOSER』。
奇しくも、今回夏の魔物に向けてコメントを出させてもらって、だいち69の話を聞いてイメージした曲が『All The Young Dudes』だったんでその歌詞をコメント文内で引用してたもんだから、イントロをROLLYさんが弾いた瞬間、全身の毛穴がバックリ開いた。そして豪雨のなか、マリーズはヘッドライナーを完璧に努めた。王道の、ガチンコロックバンドが集うフェスティバルで。
最後はバックステージでビールが飲み放題だったせいで帰るタイミングを失った出演者たち(志摩さん談)による、雨の中の『雨上がりの夜空に』大合唱。終わったと思いきやROLLYさんがリフを弾き始めるもんだから何度も何度も、雨上がりの夜空に輝く。
終演後、余裕で降り続ける雨のなか清志郎の『激しい雨』が流れてた。
「ロックの世代交代」、「忌野清志郎に捧ぐ」。
夏の魔物2009が成功した瞬間だった。
朝から晩まで最高のロックンロールショウだった。
YOUNG LOOSER / 毛皮のマリーズ

post: 2009年7月25日 ( BLOG )

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